ぼくがパーソナルトレーナーになったのは13年ほど前。
有名なトレーナーがたまに雑誌で紹介される程度の職業だったし、今みたいにTVで見る機会はほとんどなかった。
それが2015年頃からスタートした、赤井英和さんをCM登用して有名になったパーソナルトレーニングジム「ライザップ」のおかげで一気にパーソナルトレーナーという言葉が有名になりました。
ここ5、6年で「パーソナルトレーナー」は人気の職業となりました。
それにあわせてトレーナー育成の学校やセミナーも急増し、今やその知識や技術を磨く場を選ぶのに苦労はしません。
むしろSNSの普及で多くの情報が無料で手に入る時代になりました。
ぼくらトレーナーよりも一般の方の方が、最新のトレーニングや栄養などに関する専門知識を持っていることも多々あります。
そんな時代、「お客さんが少ないのは専門知識や技術がないからだ…」とか「高度な専門技術があればお客さんは増える」みたいな考えは非常に危険です。
もちろん自己研鑽するのは当然の前提ですが…
消えていく専門職
著書では、これからの時代「儲かる働き方ができる人」と「儲からない働き方の人」の紹介がされています。
「儲かる職業、儲からない職業」ではありませんのでご注意を。
それぞれ紹介していきますね。
儲からない働き方の人
①トレーダー
商品を「右から左へ」流し、その手数料などで稼いでいるような働き方をしている人。
インターネットの普及により、欲しい物があればワンクリックでなんでも買える時代。
こういった働き方は厳しくなりそう…
②エキスパート
要は専門家のこと。
ぼく含め、多くのパーソナルトレーナーもここに属します。
「産業のスピードの急速な変化」とそれに伴う「社会のニーズの急速な変化」のせいで、時間とお金をかけて身につけた知識と技術が、あっという間に過去のものになり、必要性がなくなってしまうことも…
パーソナルトレーニングに付加価値をつけてコモディティ化しないようにするのも1つの手段です。
が…先述したようにインターネットが普及した今「付加価値を生む差異があっという間に差異でなくなり、コモディティ化した人材の値段価値がどんどん安くなる時代」であることは避けられませんね…
「あ、やべっ!また新しいメソット出た!セミナー行かなきゃ…」って思考は危険ですよ〜
儲かる働き方ができる人
③マーケター
「顧客の需要を満たすことができる」かつ「なぜその商品を売っているのか=ブランド=ストーリーがある」人のこと。
ぼくらパーソナルトレーナーでいうと、「ぼくのパーソナルトレーニングを受けると、膝の痛みが改善してマラソンが走れるようになりますよ」
ではなく
「ぼくも以前マラソンの練習をしているときに膝を痛めた。せっかくの大会も痛みのせいで満足のいく結果が出なかった。このような思いをするランナーを一人でも減らしたいと思い猛勉強した。自分の経験を活かして膝痛で悩んでいるランナーのサポートをしたい」
といったほうが「顧客のニーズ」に対して「自分の思い=ストーリー」を乗せて売ることができています。
つまり人との差異が生まれている状態です。
④イノベーター
直訳すると「革新者」で、「世の中を変えるような商品やサービスを生み出す人」のことを指します。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は代表的なイノベーターとしてよく名前があげられます。
社会にインパクトを与える商品やサービスを生み出したい、と考えてたとしても、全く新しい製品を作る必要はない。
「今までにあるものの組み合わせを変える、見方を変えることによってイノベーションを起こすことができる」と言われています。
イノベーションを起こすためには、特定分野の専門家になるよりも、「他業界のよいアイデアを徹底的にパクリ」、さらに「何か聞いたら反射的にその逆を考える」という思考を持つことが有効な手段なのかもしれません。
⑤リーダー
本では様々なリーダーを例に挙げて、そのリーダー論について記されています。
マイクロソフトのビル・ゲイツ、日産のカルロス・ゴーン、ルームトゥリードのジョン・ウッド、アップルのスティーブ・ジョブズなど。
全員強烈な個性で組織を牽引する一方、タイプの異なる参謀に支えられていたことも記されています。
ただ、いきなり強烈な個性でリーダーシップを発揮するのは難しいですよね^^;
もし組織のリーダーとして働く場合は、「性格、特徴、背景が異なる様々な人をマネジメントする能力」が必要になるのではないでしょうか。
⑥投資家
ここで重要なのは「投資家になる」のではなく、「投資家的な発想」ということです。
つまり「資本を所有して、それを自分のために適切な機会に投資する」
ぼくたちパーソナルトレーナーは資本(専門知識や専門技術)を得るために投資(セミナー参加や書籍の購入)を行います。
ぼくも駆け出しの頃に先輩トレーナーに言われました。
「売り上げの5%は先行投資と思って自己研鑽に使いなさい」と。
ただし…
本来「投資」とはその見返りを見越して行うものです。
先述したように、「お客さんが少ないのは専門知識や技術がないからだ…」とか「高度な専門技術があればお客さんは増える」といった考えでセミナーに参加するのは危険です。
今後トレーナーとして活躍するためには、専門知識を磨くと同時に、一社会人としてのマナーやコニュニケーション、営業、経済などのいわゆる教養を学ぶ必要があると強く感じます。
リベラル・アーツを学ぶ
リベラル・アーツとは、日本の大学でいう1、2年生時に学ぶ教養課程を指します。
心理学や経済学、哲学、数学、宗教、政治、歴史など、専門分野とは程遠い分野ですが、専門分野に関するセミナーが乱立する今だからこそリベラル・アーツを学ぶ必要性を感じます。
リベラル・アーツを通して「物事を様々な角度から考える能力」「自ら問題を発見し解決する能力」「多様なバックグラウンドを持つ人々とコニュニケーションする能力」「広い知識を深い思考を持つ人格」を身につけることは、コモディティ化するトレーナーと差異をだす武器になるとぼくは思っています。
専門知識しか知らないトレーナー多すぎますから!
まとめ
①このままではトレーナーはコモディティ化してしまう。
②専門知識や専門技術を磨くのと同時に一般教養(リベラル・アーツ)を学ぶ。
③エキスパートではなくマーケター、イノベーター、リーダー、投資家的な発想を持つ。
④専門技術を追いすぎてセミナー貧乏にならないように、見返りを考えて「先行投資」を行う。
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