「インナーマッスルが大切」
「体幹トレーニングでインナーマッスルを鍛える」
「インナーマッスルがないとケガしやすい」
巷にはインナーマッスルに関する見解が多数存在します。
トレーナーではなく一般の方であっても、「インナーマッスルは重要だ」ということは周知の事実となっています。
ではなぜインナーマッスルが重要なのか?
それは…
関節の動的安定性が高まるからです。
人間は常に動いています。
寝た状態、座った状態で安定していても、立って動いたら不安定…では意味がありません。
インナーマッスルの最大の機能は、動いた時に関節を安定させてくれるところにあります。
ではどのようにして、動きの中での安定感を出しているのか解説していきますね〜
単関節筋と多関節筋
人の筋肉には単関節筋と多関節筋の2種類の筋肉が存在します。
単関節筋:1つの関節のみをまたいでいる筋肉。ex)棘上筋、小円筋、中臀筋、ヒラメ筋…
多関節筋:2つ以上の関節をまたいでいる筋肉。ex)上腕二頭筋、広背筋、大腿直筋、腓腹筋…
またいでいる各関節ごとに筋肉の大きさを比べると、
単関節筋:小さい
多関節筋:大きい
また、力の強さでいうと
単関節筋:弱い
多関節筋:強い
となります。
どちらかというと一般的には、単関節筋のことをインナーマッスルと呼びます。
関節をまたいでいない筋肉は存在しませんから、単関節筋の方が関節に近い場所にあります。
関節モーメント
モーメントとは、物理学で物体を回転させる力の大きさを表す量のことを言います。
つまりモーメントが大きいほど関節を動かすのに有利なわけです。
ちなみに計算式にすると
M=Nm
(モーメント(M),力(N),距離(m))
となります。
計算式には「距離」も含まれていますから、同じ力であれば距離が大きい=関節から遠くにある筋肉ほど関節を動かす力が強いということになります。
動画解説
解剖学やバイオメカニクス(物理学)が苦手な方は寒気しますよね^^;
超わかりやすく動画にまとめてみました。
さっさとこれ見せろって感じですね^^;
動画では右側の黄色いLEGOブロックが支点(関節)になります。
単関節筋(僕の指)が働いた場合は支点が安定し、多関節筋(青いヒモ)が働いた場合は支点が不安定になるのがよくわかりますね。
つまり、単関節筋(インナーマッスル)が働かずに、多関節筋(いわゆるアウターマッスル)ばかり働いてしまうと、関節が不安定になり、ケガにつながるということです。
最後に2つの筋肉が同時に働くと、力強く動き、さらに関節も安定していることがわかります。
まとめ
・単関節筋→力は弱いが関節は安定する
多関節筋→力は強いが関節は不安定になる
・関節モーメントが大きほど、関節を動かす力が強い
・単関節筋が働くことによって、関節が安定する。すなわち関節への負担がなくなる
スポーツ、日常生活においてインナーマッスルはもちろん、アウターマッスルもケガの予防、パフォーマンスアップのどちらの観点からも重要です!

井上穣

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